心底から寛げる場所のあることが、こんなに良いことだとは知らなかった。
平穏が自分一人で居る時でなく、誰かと一緒に居る時に存在するなどとは考えたこともなかったのに。
広げたデータの中身はもはや頭に入ってこなかった。
整頓されたデスクの上をスカイファイアーの手がやや乱暴に滑り、仕事は放棄された。
「終わったのか?」
スカイファイアーが立ち上がった気配に、そこらにあった資料の山を征服していたスタースクリームが顔をあげた。
これを暇潰しだ、と言い切る辺り、彼の能力は真に高いものだといえよう。
「終わったよ。待たせたね」
「随分長くかかったな」
膨れた顔の割に、スタースクリームの声は明るい。
「当然……」
「埋め合わせはするよ」
彼の言葉の後を引き取ってスカイファイアーは笑った。
彼が部屋に来た時点で、本当はもう仕事が手に付かないのはわかっているのだ。
それでも悪あがきがやめられないのは、スタースクリームの機嫌をとる口実が欲しいからかもしれない。
2010/02/10