midair





 今日は遠出したので、三人とも疲れていたし腹一杯なせいで眠くもなっていた。
 それでも少したわいのない話をしていたら、ボンブシェルが長々と蘊蓄をたれはじめたのでシャープネルはどうにも耐えられなくなってきた。
「もう寝ようぜ」
 提案すると、ボンブシェルは話を遮られたのに不満げな顔をしたが反対はしなかった。
 キックバックはとっくに話を聞くのをやめて半分眠ったような顔をしている。

 伸びをしながら立ち上がると身体がふらついた。
 寝室に入って奥のベッドに倒れ込むと、眠気が一気に襲いかかってくる。
 急に重くなった身体をひきずりあげてやっと布団にもぐりこむ。
 同じくばたん、と倒れ込んだボンブシェルがぐぅ、と唸ったので誰からともなく笑いが漏れた。
「今日のは美味しかったな」
 真ん中のベッドに潜り込んだキックバックが満足げに呟いた。
「ありゃあカエデだ。メープルシロップつう、甘い蜜がでるんだ」
「ふーん・・・また明日教えてくれよ」
 ボンブシェルが言うのに眠そうな声が相づちを打つ。
 明日ボンブシェルが話してもキックバックは自分の言ったことも覚えてないだろうな、と眠い頭で考えてシャープネルは一人で笑った。

「おやすみ」
「おー」
「ああ、おやすみ」
 声をかけあうと、すぐに寝息が聞こえ始める。


 ふとシャープネルは目を覚ました。跳ね飛ばしていた布団を引っ張り上げる。
 まだ朝には間があるようだ。
 二人の寝息を聞きながらぼんやりしていたら、だんだん目が冴えてきてしまった。
 起き出すのにはまだ早い、とごろごろ寝返りをうつ。

 横を見るとキックバックは寝ているあいだにトランスフォームしたらしく、バッタの姿で寝息を立てている。
 ボンブシェルはくぐもった寝息だからまた布団の中に潜り込んでいるに違いない。

 喉が渇いたなと思ったが、起き上がるのが億劫でやめた。
 ぼーっとしているシャープネルの隣で、急にキックバックがトランスフォームした。
 驚いてそちらを見ると、起き上がったキックバックが目をこすっている。
「そっち行く」と寝起きの擦れた声で宣言し、のそのそとシャープネルの布団に潜り込んできた。
 たまにキックバックは一緒に寝たがるので、こちらも慣れたものだ。
 ちょっとつめて場所を空けてやると、もぞもぞと動いた後すぐ寝息を立て始めた。やれやれ、と思いながらもキックバックを眺める目は優しくなる。
 夢でも見ているのか、ぴくぴくと動く羽を見ていたら、いつの間にか眠り込んでいた。


 2回目に目が覚めたらもう朝になっていた。
 隣にはまだキックバックがいたので、起こさないようにそっと布団を抜け出す。

 ボンブシェルはいつものように起きていた。
 「おはよう」と声を掛けて、保存庫からエネルゴンを取り出す。

「おはよう。昨日はお前のところに行ったんだな」
 エネルゴン・スティックを囓りながらボンブシェルが言う。
 少し羨ましそうな声の響きにシャープネルは緩む頬を隠し、話題を逸らす。
「それより、それちゃんと補充しとけよ?」
「わかってるよ。小腹が空いたんでな。お前もどうだ?」
「ん、もらおうかな」
 並んで黙々とスティックを囓る。
「腹減ったな」
 呟くと、ボンブシェルも頷く。
「キックバックが起きたら行こうぜ」




*2008/08/17 前ブログより転載・加筆修正
*2008/11/21 加筆修正