偵察の帰り、フォートレスはメトロフレックスの肩に座って街を見下ろしていた。
忙しく行き交う人々で街は溢れているが、その喧騒は風に紛れてここまでは届かない。
「重くないか?」
なんとなく悪くて声を掛けると、メトロフレックスはくすりと笑う。
「重いわけが無いですよ」
その後少し小さな声で付け加えられた言葉。
「シティコマンダーもこうして街を見るのが好きでした」
過去形のそれにフォートレスは言葉に詰まった。
ウルトラマグナスを失って、心優しい彼がどれほど苦しんだか。
それを思うとデストロンに対する以上に自分に対して怒りが込み上げてくる。
「すまない」
絞り出すように言うと、メトロフレックスは首を振って空を見上げた。
「フォートレス司令官」
「うん」
「寂しいですね」
「…ウルトラマグナス」
小さくメトロフレックスの呼んだ名に応える声はもう聞こえない。
哀しげに歪められたその横顔にかける言葉など有るはずもなく。
フォートレスには黙ってそれを見詰めることしか出来なかった。
彼の向こうに見える、日の暮れ始めた地球の空は切ないほど美しい。
彼の守りたかったこの場所を、この星の未来を、必ず守る。
「帰ろうか、メトロフレックス」
「はい、司令官」
「また連れてきてくれるかい」
「喜んで」
*2008/09/23
*2009/06/22 加筆修正