突然出された出撃命令にブリッツウィングは顔を顰めた。
けたたましいサイレンに続いた放送によると、今日は人間どもの工場を襲うらしい。全員出撃体制を整えハッチに集合、か。
かなり大規模な襲撃になりそうだ。
いつもなら喜んで飛んでいくところだが、今日は別だ。
なんとなく憂鬱な気分なのだ。
天気が悪いせいかもしれないし、棚に足をぶつけたせいかもしれない。
とにかくそれくらいの理由からくるものだとはわかっているが、どうにも立ち上がる気がしない。
相変わらず鳴り響くサイレンが鬱陶しくて部屋のスピーカーを吹き飛ばす。
わかってるよ、行けばいいんだろ。そんなに喧しく急き立てんな。
廊下に出ると、後ろからアストロトレインの声がした。
なんだか不安定な気分の時は、相棒といっしょにいた方がいい、とわかっている。
癪に障るが今までの経験上そうなのだから仕方ない。
名前を呼ぶ声に手をあげて答えると、アストロトレインが駆け寄ってきた。
「よぉ、浮かない顔してどうした」
我が相棒様はなんでもお見通しらしい。
「おう」
肩を竦めて答えた声は自分でも戸惑う程、弱々しい。
「なんだよ、調子わりいのか?」
からかうような口調にむっとするが、ヤケ気味に肯定するうなり声を上げる。
ふふん、と笑って肩にまわされた手でグッと引き寄せられ、ぽんぽんっと頭を叩かれた。
力が篭もっているが優しいそれに、アストロトレインの顔を見返す。
にやっと笑った顔はいつものように、ちょっとむかつく。が、不思議と安心感も覚えた。
「お前がダメでも俺がいればサイバトロンどもなんて一撃でぶったおせるさ」
と自信満々の口調で言う相棒の背中を「よく言うぜ」と叩く。
ちょっと元気が出て来たな、と笑いを浮かべるアストロトレイン。
何様だ、と今度はもう少し力を込めて殴ってやった。
*2008/08/15 前ブログより転載・加筆修正
*2008/11/20 加筆修正