「何をいじけておる」
掛けられた言葉にスタースクリームは顔を顰めた。
「いじけてなんかいませんよ」
「お前らしくも無いな」
振り返りもせずに答えたのに気を悪くした風もなく、デストロンの破壊大帝は気紛れなno2の肩を叩いて隣に腰を下ろす。
夜も更けかけたバーにはすでに人気はなく、基地も静まり返っている。
いつものことだのに、今日は殊更作戦の失敗を気にしているようだ。
普段は何があっても自分の非を認めようとしないのに、とメガトロンは苦笑した。
「なに笑ってるんです」
不機嫌な声に笑いを深くしたメガトロンはスタースクリームに指を振った。
「わしにもいっぱいくれ」
無言で突き出されたエネルゴンをちびちび飲む彼を横目で見ながら、スタースクリームは問い掛けた。
「あんたは悔しくないんですか」
部下の膨れっ面を見遣ってメガトロンは口を開いた。
「悔しいが終わった事は仕方あるまい。また次に叩きのめしてやるだけのことよ」
実際、今回の襲撃はとくに問題もなかったのに失敗した。運が悪かったというしかない。
「…たまに疲れますよ、いつまでも同じ事の繰り返しで、」
スタースクリームのぐっと握り締められた拳を宥めるように叩く。
「あんたが、あんたがもっとちゃんとしないから!」
振り払った手の勢いのままメガトロンに銃が向けられる。
スタースクリームの食いしばった歯がぎりぎりと音を立てる。
「やめんか」
鋭い眼に睨みつけられてスタースクリームは口を曲げて銃を下ろした。
「もう休め」
カウンターに突っ伏してしまった背中を撫でるとメガトロンは声を和らげた。
「明日もやることはたくさんあるのだぞ」
「あんたこそ早くねたらどうです」
ぼそりと返された言葉に大帝は笑った。
「では一緒に引き上げるとするか?」
立ち上がって尋ねると、スタースクリームものろのろと立ち上がった。
「送って行ってやろう」
先に立ってバーを出る。
無言で肩を竦めたスタースクリームは大人しくメガトロンの後に続いた。
大きな背中を眺めながら、いつか必ず追いついてやると、心の中で呟く。
先を行くメガトロンはそれすら見通しているかのように仄かな笑いを浮かべていた。
*2008/09/17
*2008/11/25 加筆修正