midair





 スタースクリームが起きてこない。
 メガトロンは苛々した様子で時計を見ていたが、やがて立ち上がってスカイワープを呼びつけた。
「スタースクリームのやつを起こしてこい」
 あくまでも怒ったような言い方だったが、少し心配しているようだ。

   面倒くさい、と不機嫌にどたばたと足音を立てながら廊下を行く。
 スタースクリームの部屋に入ると、苦しそうな息遣いが聞こえてきた。
「おい、どうした?」
 近づくと、スタースクリームは凄い熱だった。
 うっすら開いた眼も熱に潤んでいるようだ。
「スカイワープか…」
 声もひどくしわがれている。
「お前、大丈夫か?風邪ひいちまったのかよ」
 答えずに顔をしかめると、スタースクリームはごほごほと咳をした。
 スカイワープが慌てて飛び退くと、凄い顔で睨みつけられる。
 病人のくせに威勢だけはいい。
 いつになく弱っているスタースクリームを見て、イタズラ心が芽生えた。
 どすん、と上に乗っかってぐりぐり頭をこづく。
「やめろって」
 スカイワープの腕を押し返す手も弱々しい。
 調子に乗ってあちこち触ったり、小突いたりしていると突然反撃に遭った。
「っこの野郎!」
 叫んだかと思うと、体が入れ替わっていた。
 ごほっと咳き込んだスタースクリームはいつもより赤い目でこちらを睨め付ける。
「俺は病人なんだぞ」
 そう言って、一発殴ってくる。
 あまりに力の入っていないそれにスカイワープは吹き出しそうになった。
「じゃあ大人しく寝てろよ」
 ぐっと力をこめてもう一度身体を入れ換える。
 はぁ、と溜め息をついたスタースクリームはめんどくさそうに顔を背ける。
 馬乗りになったまま、頭をなでてやってスカイワープは言った。
「メガトロン様には、ちゃんといっといてやるよ」
 少し嫌そうな顔をしたが、スタースクリームはこくりと頷いてスカイワープの手をはね除けもしなかった。

「…エネルゴンジュースが飲みたい」
 小さく呟かれたそれに吹き出す。
 スタースクリームは笑うな、とちょっと怒ったように言って布団にもぐりこんでしまった。
「わかったよ、もってきてやる」
 布団の膨らみを叩いてスカイワープは機嫌良く言った。
 うん、と返された言葉に笑いながら部屋を出る。
 たまには優しくしてやろう。




*2008/08/26 前ブログより転載・加筆修正
*2008/11/25 加筆修正