midair





 ごろごろ、という音に眠りを妨げられてキックバックがベッドから起き出すと、外では雷が鳴っていた。
 ボンブシェルはつまらなそうな顔をしてエネルゴンを飲んでいる。
 キックバックに気付くと、「起きたか」と言い外を指して「またこれだぜ」と渋い顔をする。
 最近は嵐がよくくるので、シャープネルの機嫌がえらく良く、ボンブシェルの機嫌はそれと反比例だ。
 シャープネルは雷を連れてくるこの時期の嵐がそうとう好きらしい。
 朝から晩まで外にでっぱなしで、雷が近づくのを待っている。

「もう少しまともなものが食いたい」
 シャープネルの精製したエネルゴンを囓りながらボンブシェルは不機嫌そうに鼻を鳴らした。
 ぴりぴりするし、苦い、といつもこぼすくせに一番食べているのはボンブシェルだ。
 少し舌が痺れるのが面白くてキックバックは結構雷のエネルゴンが好きだった。
 ぶちぶち文句を言いながらボンブシェルはつまらなそうにしている。
 気晴らしに外にでも行ってくればいいのに、と言うと面倒くさい、と一蹴する。
 必要以上に濡れるのも嫌だ、と続けてキックバックを振り返る。
「そうだ、あの馬鹿に適当なところで戻ってこい、って言ってきてくれ」
 横殴りの強い雨に出口で少し躊躇った後キックバックは思い切って外へ出た。
 踏み出した瞬間強い風が身体を襲う。
 吹き飛ばされないように慎重にシャープネルの方へ近付く。

 木の上に座っていたシャープネルは感覚が鋭くなっているのか、満面の笑顔で振り返る。
「やっと起きたか」
 言うととまたすぐ上を向いてしまう。
 キックバックはそれに少し苛っとして乱暴に隣に飛び上がった。
 それでも視線はこちらにあうことなく、雷を飽きることなく見つめている。
「シャープネル」
 呼ぶとようやく振り向いてくれた。
「どうしたんだよ、そんな顔して」
 どんな顔だろう、と思ったが、シャープネルが肩に手を回してきたところでそんなのは気にならなくなる。
 ぎゅっとこめられた力がなんだか心地よくて、頬を緩めたキックバックは空へ視線を移した。

 一緒に並んで見上げた空は真っ黒で、時折はしる閃光がとても綺麗だった。




*2008/08/20 前ブログより転載・加筆修正
*2008/11/25 加筆修正