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一段高いところに腰掛けたサンストリーカーの足がゆらゆらと揺れている。顔の脇にある足を掴んでやろうと手を挙げた時、ランボルは腕についた泥の筋を見つけて顔を顰めた。さっきサンストリーカーに引っ掛けられた泥水か。乱暴に固まってしまった泥を擦り落としていると、サンストリーカーのつま先がこつんと音を立ててランボルの肩をつついた。
「やめろって」
指先についた泥を擦り付けてやろうかと思ったら、つま先はするりと逃げていく。一瞬かっとなりかけたランボルは大人げないな、と思い直して指を拭った。また汚しただのなんだのと一揉めするのも面倒だ。
ふと見上げると、サンストリーカーと目が合った。怒っているかな?と窺う様子が三分の一くらい、残りは悪戯を考えているような。……反省はしていないらしい。泥を落としてしまったのを残念に思いながら、ランボルは無言で指先を摺り合わせた。それをちらりと見て、サンストリーカーが少し考えるように首を傾げる。が、別に何をいうでもなく、しばらく二人は無言で見つめ合っていた。
サンストリーカーの足が動いたのと、ランボルの手が動いたのはほとんど同時だった。けれどタイミングが良かったのはランボルの方で、サンストリーカーのつま先が肩を掠める前に彼の手は悪戯者の足を捕まえていた。しまった、という顔をするサンストリーカーを笑って、ランボルは躊躇いなく兄弟を引きずり落とした。そして彼自身もぽんと弾みを付けて飛び降り、先に落ちていくサンストリーカーの後を滑っていく。
落ちた時も、滑りながらも無言だった二人は、最終的にぶつかるような形で止まってから笑いを爆発させた。後に着いたはずのランボルが何故か下敷きになっているのも、サンストリーカーのつま先がほんの少し汚れているのも、喧嘩の種にはならずに笑いを一層激しくさせるだけだった。
「あーあ」
笑いが収まった後で、大の字に寝っ転がったサンストリーカーが息をつく。ランボルもそれを真似て、さっきより遠くなった空を見上げた。こつんと頬を弾かれて、横を見るとサンストリーカーが楽しそうに笑う。
掴もうとすると逃げる手を追いかけてランボルの身体がぐるりと回った。意外と近い距離にあった二人の身体が半ば重なって、サンストリーカーがふざけてぐうっと潰れたような声を出した。
兄弟の胸の辺りに頭を乗せたまま、ランボルはしばらく笑ってふっと力を抜いた。サンストリーカーも身体をごそごそ動かして落ち着く場所を見つけたらしい。丁度良い枕の上で一つ欠伸をし、ランボルは目を閉じた。
*2012/03/20