midair





 ふいに、寂しくなることがある。足が竦んで動けなくなるくらい、押し潰されそうなくらいに孤独が襲ってくる時が。
 待っているのは辛い。それを待たせる方は知らないだろう。
 そう思ってから、サンダークラッカーは苛立たしげに首を振った。
 弱音を吐いている時ではないし、自分に批難めいたことを言う資格などないのだ。
 つまらない追いかけっこばかりで、ストレスが溜まっているのかもしれない。ちまちましたことがサンダークラッカーは嫌いだった。
 出てくるなら出てくれば良い。片を付ける気もないのにちょろちょろされるのは目障りだ。
 あのオートボットのことでは確かに不覚を取った。今はオートボット"達"と呼ぶべきか。
 精々痛めつけてやろうと思ったのに、まさか逃げられるとは。
 喉元に引き攣るような痛みが走り、サンダークラッカーは思わずそこを手で抑えた。
 忌々しい。この傷が自分が役立たずであることの証明かのようで、耐え難いほど屈辱的だった。
 そして、無力な自分に腹が立つ。
 スタースクリームが、いつも来てくれるわけではない。それなのにいつまでもスタースクリームの助けを願う弱さがサンダークラッカーの中にあった。
 寂しくて、不安だった。揺るぎない背中が見たかった。一人で居るのは辛い。自分を支えてくれるだろう肩はあまりにも遠すぎる。
 溜息を吐いてサンダークラッカーは目を閉じた。
 それでも彼が戻る日まで、自分は与えられた役割を果たさねばならない。スタースクリームが望む全てを手に入れて、無事に帰ってくるのを待つだけだ。
 多くの仲間が戻らなかったようにスタースクリームも帰らないのではと、不安に駆られる時もある。
 ただ待っているだけなのがどうしようもなく辛くて、ここでの仕事を放り出して彼の側に行きたいと願う。いっそそうできたら。
 ゆっくり目を開くと、サンダークラッカーは喉元の傷をなぞった。
 その傷は彼にとって屈辱であり、同時にスタースクリームと己を繋ぐ証でもあった。
 待っていよう。そう命じた彼が戻るまで幾らでも。
 残されたことが既にスタースクリームの信頼なのだ。それを裏切らぬことだけが、スタースクリームに応える唯一の方法。
 力を取り戻した目が、静かに燃える。立ちあがってサンダークラッカーは寂しさと不安を払い落とした。



*2011/05/14