タイトルはお題サイト「リライト」様、Color title(red)より
「幽霊がうなされるたぁまた珍しいこともあるもんだ」
オクトーンはスタースクリームの身体を突き抜けた手をすかすかっと振って苦笑した。
なんとなく指先に冷たいものを感じるだけだが、スタースクリームは不快そうに身体を引く。
それを見てオクトーンは苦笑を深めた。
自分は人のスパークを凍らせるのが趣味の癖に、自分がやられるのは嫌だってか。
スタースクリームに身体を突き抜けて行かれるのは、何度やられても慣れるものじゃない。
まあ、自分の手がスタースクリームの身体を突き抜けてるのも、何度見ても慣れはしないけれども。
「で、なんの夢見てたんだよ」
微かに冷えた指先を擦りながら尋ねても、スタースクリームはそっぽを向いたまま答えない。
それでも彼のへの字に曲がった口を見ていたら、オクトーンはなんだか分かったような気がした。
「お前も、寂しくなったりするんだな」
思わず言ってしまってからはっとして口を押さえたが、もう遅かった。
振り向いたスタースクリームの無表情な顔に、辺りの温度が下がった気がする。
「も?」
「えーと……」
そこかよ、と内心突っ込んで、オクトーンは無理矢理笑った。
「俺も、たまに思い出すとちょっとだけ寂しくなったりするぜ?」
俺は別に寂しくなんてならない、と鼻で笑ったスタースクリームは、言葉とは反対になんだか小さくなったように見えた。
相変わらずのへの字口を解けるのはあの人しかいなかったのに、あの人がいなくなって、スタースクリームもやっぱり寂しくなったりするんだろうか。
何を思ってガルバトロンのところへ来たんだろうか。
単純なようでいてひねくれたスタースクリームの考えは、とても理解できそうにない。
スタースクリームを放って操縦席につくと、オクトーンはぼんやり星を眺めて考えた。
スタースクリームに帰る場所はあるんだろうか。
永遠に近く生きるのは、辛そうだ。ボディも無く頼りない透明の身体でふらつくのは、多分スタースクリームじゃなけりゃ無理だろう。
そう思うと、一応帰る場所と、迎えてくれる仲間がいる(と、思いたい)のは、えらく有り難い気がした。
振り返ったらスタースクリームはどこかへ消えていた。姿を消しただけか、本当に違うところへ行ったか。
溜息をついてオクトーンは次の目的地を入力した。
デストロンが駄目でも、頭に浮かんだサイバトロンの一人は多分自分を迎えてくれるだろう。
サイバトロンに入るのは考えものだが、デストロンに追われるなら頼っておくのも悪くない。
あいつらは気が長いからもう少し行くのが遅くなっても、きっと待っててくれるだろう。
*2010/03/17