midair





「いたっ、もっと丁寧にやってくれよ!」
「こんなの痛いわけねぇだろ、ちっとは我慢しろ」
 治してやるだけ有り難いと思えよ。
 アストロトレインはブリッツウィングのひしゃげた翼を伸ばしながら苦い顔をした。
「それにしてもなんであそこでつっこむんだよ」
「しょうがないだろ、止まれなかったんだから!」
「回収する俺の身にもなれよ。スタースクリームには散々嫌味を言われるし、メガトロンにはリペアは自分達でやれって言われるし」
 ビルドロンが手伝ってくれたら楽なのに、と溜息を吐く。
「ごちゃごちゃ言ってないで早く治してくれ」
「お前は黙ってろ!」
 今度喋ったら、と器具を振り上げて脅すと、渋々口を閉じたブリッツウィングは鼻を鳴らして背中を向けた。

 背中の傷を見ると転げ落ちた時に擦り剥いたのか、ざっくり装甲が剥がれて酷い状態だ。
 中のケーブルも露出して、ちぎれてしまっているものもある。まぁ大事な器官をやられなかっただけましかもしれない。
 そうなっていたらアストロトレイン一人で治すのは至難の業だったはずだ。
 ケーブルに触れると、ブリッツウィングはびくりと体を震わせたが声を上げようとはしない。
 たまに妙に素直になるから面白い。
 やりやすくていいか、と新しいケーブルとの接続を手早くすませて交換パーツに手を伸ばした時ブリッツウィングの顔が目に入った。
 きつく噛み締めているせいで色の変わってしまった唇。
 アストロトレインはそんなに痛かったかと心配になった。
「ブリッツウィング、痛かったか?」
 こくり、と頷いたブリッツウィングは少し痛みが引いたのかほっとしたように息をつく。

「よく我慢したな」
 声を掛けると誇らしげに胸を張った。
 子供っぽい仕種に頬を緩める。
 いつもこんなだったらいつだって喜んで治してやるのに。
「あと少しで終わるからな」
 その言葉に大人しく頷いて前を向いたブリッツウィングの背中を撫でる。
「くすぐってぇよ…」
 ぼそりと呟かれた言葉にアストロトレインはにやりと口を吊り上げた。

 大人しいブリッツウィングも悪くないが、と笑ってアストロトレインはブリッツウィングの頭を軽く叩いた。




*2008/09/03 前ブログより転載・加筆修正
*2008/11/23 加筆修正