「おーい!誰かー!だーれーかー!」
叫び疲れてバンブルは大きな木の根本にがっくり座り込んだ。
「困ったなぁ…」
ずっと叫んでいるけれど誰かが気付いてくれた様子も誰かが迎えに来てくれる様子もない。
というか、周りに皆がいるかどうかすらわからない。
空を見上げても幾重にも枝が茂ってすっかり覆われてしまっているものだから、まだ昼なのか、もう夜なのか、それもわからない。
そのせいなのかさっきから何度も試しているけれど通信もさっぱり繋がらないのだ。
雑音が返ってくるだけ。
「おいらこんな所でエネルギー切れになりたくないよ」
ただの偵察のはずだったのに。
突然襲撃してきたスタースクリーム達と交戦していたらいつの間にか仲間とははぐれ迷子になっている始末。
格好悪いことこの上ない。
「みんなどこ行っちゃったんだろ」
呟いた自分の声がひどく弱々しく聞こえてバンブルはぱしん、と頬を叩いた。
弱気になっている場合じゃない。
なんとかここから抜け出さなくちゃ。
と歩き出したのはいいものの。
「…こっちであってるのかな?」
いけどもいけども出口らしきものは見えない。
もう少し歩けば出られるのか、それとも森の奥深くへと入っていってしまっているのか。
急に心細くなってきてバンブルは仲間の名前を呼んだ。
「もっと大きな声で叫べよ。そんなんじゃお仲間にゃ聞こえないぜ?」
返ってきたのは仲間の声ではなくさっきまで追いかけていた敵の声だった。
「サンダークラッカー?!」
驚いて身構えるバンブルにサンダークラッカーは緩く手を振った。
「出たいんだろ」
バンブルはぐねぐね手を弄ったり訳もなく頭を触ってみたりおちつかなげにサンダークラッカーの後ろについて歩いていた。
ついて来い、と言ったきりサンダークラッカーは別に何を言うわけでもなく攻撃もせず、ただ道案内をしてくれている。
「…」
このままついていっていいんだろうか?
もしかしてスタースクリームやメガトロンが待ちかまえていて掴まえられちゃうとか。
まさか。いや、でも…
「変な顔すんなよ」
振り返ったサンダークラッカーは少し笑っている。
「別にお前をどうこうしようってわけじゃない。どうせ襲撃は成功したしな」
「じゃあなんでここに?」
余計怪しいじゃないか、とバンブルは首を捻る。
「…さあな」
肩を竦めたサンダークラッカーはそれ以上何を聞いても答えようとはしない。
会話を続けようと粘ってみたものの結局バンブルも諦めて黙り込んだ。
大またでその上早足で歩いていくものだから、小走りみたいに歩かなければいけないし。
足元を見つめながら一生懸命歩いていく。
と、サンダークラッカーが少し歩調を緩めてくれた。
「あ…ありがと」
見上げた横顔は妙に強張っている。
しばらく歩いていくと森が切れた。
「わ、出た!やっと出られた!」
嬉しくなって走り出してから慌てて周囲を見回したが、デストロンの影は無いようだ。
疑って悪かったかな、と反省してバンブルはサンダークラッカーを振り返った。
「ありがとう、その…送ってくれて」
不機嫌に頷くとサンダークラッカーはさっさと行け、と促す。
歩き出してバンブルは足を止めた。
「なんでわざわざ来てくれたの?」
飛び立とうとしていたサンダークラッカーは顔を顰めた。
「…わからねぇよ」
ぶっきらぼうに返ってきた答えに笑ってバンブルは今にも降り出しそうな空を見上げた。
*2009/01/27