midair





「良い天気だよなぁ」
 独り言というには大きすぎる声でサンダークラッカーが言った。
「だからなんだ」
 スタースクリームは虫の居所が悪いようだ。
 メガトロンに命じられた偵察はお気に召さなかったらしい。
 同時に乱暴な方向転換。ぎりぎりのところを翼が掠めていく。
 危ういところでそれを避けたサンダークラッカーは舌打ちの音を聞かなかったことにした。
「どこまでも行けそうじゃねぇか」
「はっ」
 スタースクリームが心底馬鹿にした調子で笑う。
「どこのサイバトロンだ、お前は」
 撃ち落としてやろうか、と続いた言葉もサンダークラッカーは無視した。
「ただ飛んでいくんだぜ、なんにも気にせずに。好きな時に、好きな場所へ」
「脳天気なこった」
 しばらく黙ってからサンダークラッカーは呟いた。
「任務さえなきゃあな…」
「律儀に報告してるやつの台詞か」
「お前がしないんだから俺がするほかないだろ」
 言い返してから良いことを思い付いた、と笑う。
「なあ寄り道してこうや」
 そのままぐんとスピードを上げたサンダークラッカーの青い機体は同じくらい青い空に吸い込まれるように上っていく。
「どうせ異常なんてありゃしねぇ」
 そうだろう、と降ってきた声を追いかけてスタースクリームも舞い上がる。
 嬉しげな宙返りを見せてサンダークラッカーは叫んだ。
「言い訳は任せる!俺の好きなとこへ、好きな奴と一緒に行くんだ」
「…馬鹿め」
 呆れたように呟いたスタースクリームの言葉にサンダークラッカーは機嫌良く同意した。




*2009/01/18