雪合戦はどんどん白熱し、もはや戦闘の域まで達しようとしていた。
参加せずに離れたところでそれを見ていたダージは降り止む気配のない雪を見上げて溜息をついた。
もう二月になる。
向こうからの連絡は無く、ダージがすることも無い。
最近の戦闘でも姿を見ることはなかった。
プロテクトボット自体の出動がないようだから後方支援か、救助活動でもしているのだろう。
会いたい、と思う。
今までだって危険を顧みず好きなようにしてきたのに、今更躊躇ってしまうのはあの時のファーストエイドの姿が目に焼き付いているせいかもしれない。
次にあった時には間違いなく傷付けてしまうことを思えば、いっそ会わない方が良いのかもしれないとも思った。
それでも、このまま時間任せで関係を消滅させるより、せめて自分の手で終わらせた方が良い。
終わらせる…ではない、元に戻すだけだ。
肩に積もった雪を払い落として、ダージは空を見上げた。
雪はまだ降り続いている。
これに紛れて会いに行こうか?
この雪が彼の悲しい顔を少しでも隠してくれるかもしれない。
ダージはファーストエイドとの回線を躊躇いがちに開いた。
「ダージ」
びくっと肩を震わせて彼は振り返った。
怪訝そうな顔のスラスト、後ろにラムジェットを引き摺っている。
「お前どうしたんだよ」
繋がりかけた回線を閉じてダージは無理矢理笑みを浮かべた。
「別に」
自分では平静を装ったつもりだったが、スラストは騙されなかった。
鼻をならすとラムジェットを無造作に転がす。
「そんな風に笑うんじゃねえ」
顔を顰めてダージを睨み、スラストは少し寂しそうに尋ねた。
「俺達にも言えないことか?」
視線を落としてダージはゆっくり首を振る。
「まだ、今は」
「いつか話す気はあるってことか」
ダージが戸惑ったように見ると、スラストはにっと笑った。
「だろ?」
「…悪いな」
「まぁ、いつまでもしけた面してるなよ」
頷いてダージは立ち上がった。
「ちょっと出掛けてくる」
「おー」
酔い潰れて寝ているラムジェットをまた雪に埋めながらスラストは手を振った。
「気を付けてな」
エンジンの音を高く響かせてそれに応えるとダージは降りしきる雪の中へ飛び出した。
*2008/12/24
*2009/09/06 加筆修正