作戦会議後、部屋に戻ってスラッグスリンガーはずっと黙ったままだった。
声をかけるのを躊躇ってしまうほど何か考え込んでいる様子の彼を見ながら、カリバーストは机に腰掛けてぷらぷら足を遊ばせていた。
さっきの作戦が気に入らなかったのだろうか?
最終的に賛同したものの気乗りしないような表情をしていたもんな、と思い返す。
ちらっと見やるとスラッグスリンガーは眠そうにあくびをしたところだった。
「そろそろ寝るかな」
お前はどうする、と聞かれて頷き、差し出された手に掴まって肩に登る。
「あー疲れた」
カリバーストを隣に下ろし、どさっと身体を横たえたスラッグスリンガーが唸るように言った。
「あんな作戦、成功するわけないよな。ガルバトロン様も何考えてるんだか」
ぼやいてからもそもそと身動きしてライトを消す。
隣からはすぐに寝息が聞こえ始めたが、カリバーストはまだ眠る気にならなくて薄暗い部屋の中を眺める。
だんだん目が慣れてきて隣のスラッグスリンガーの姿もぼんやり見えてきた。
何か言うべきだったろうか?
…励ますようなことを。どんな作戦でも俺がいるから大丈夫、とか。
ああ、口は達者な方なのにいつだって大事な時に上手い言葉が見つからない。
スラッグスリンガーならなんて言うだろう。
「なに、睨んでんだよ」
寝返りをうってこちらを向いたスラッグスリンガーは苦笑して軽く身を起こした。
「寝れないのか?」
頷くと身を乗り出してくる。
「作戦のことなら心配すんなよ、怪我だけはさせねぇからな。お前はただ撃ってりゃいいんだよ」
狙いは外さないんだろ、と笑う。
「俺が外すわけないだろ、お前こそ吹きとばされんじゃねぇぞ」
言い返すと
「ふん、早く寝ろよ」
と頭を小突かれた。
――――――
「おい、蹴るなよ」
「わわっ…!」
足を掴まれてつんのめりそうになった。
落ちかけた身体を逆様に受け止めてスラッグスリンガーは目の前にぶら下げた。
「あのな、肩に乗るなら足をぶらぶらさせんな。俺の装甲に傷がついたらどうすんだ」
わかったか、と揺さ振られて気持ち悪くなる。あと地面が意外に遠くて怖い。
ギブギブ、と手を振るとふんと息をついて、スラッグスリンガーはやっともとに戻してくれた。
「おえ、酔った」
手の中でぐったりしたカリバーストにスラッグスリンガーは馬鹿にしたような笑みを浮かべる。
「お前なぁそんな顔してっけど、逆様にぶら下げられてぶんぶん振られてみろよ…ザラク様にやってもらうかんな」
「ザラクもそんな暇じゃないだろ」
「……おぇ」
「お、おい、待てっうわ」
「…お前のせいだかんな、くそ」
げほっと咳き込んでカリバーストは乱暴に口を拭った。
「やれやれ」
苦笑してスラッグスリンガーが右手から蒸発液を出して廊下に零れたオイルを消す。
そしてさっきとはうってかわって優しい手付きでカリバーストを抱き上げた。
「お、おい、汚れちまうぞ」
「かまわねぇよ」
俺が悪かったからな、と肩を竦めてカリバーストの胸についたオイルを拭う。
「だが最初はお前が悪かったんだからな」
「……」
「んだよ、そんな顔すんなっての。すねてっと綺麗にしてやんねぇぞ」
*2008/10/15
*2012/06/11 ブログから転載、加筆修正